1909年に創業以来、数々の先進的なタイヤを世に送り出し続け、2009年に創業100年を迎えた住友ゴム工業株式会社様。環境対応商品として、97%石油外天然資源タイヤを生み出すとともに、世界各拠点のISO 14001の認証を統合化するなど、“環境”をキーワードとした先進的な取り組みでさらなる飛躍を目指している。(取材年月:2010年4月)
“先進性”と“信頼”を アイデンティティに、創業100年を 迎えた住友ゴム工業
住友ゴム工業が創業したのは、1888年に世界初の空気入りタイヤを発明したジョン・ボイド・ダンロップを祖とする英国ダンロップが、神戸にタイヤ工場を設立した1909年。以来、数多くの先進的なタイヤを生み出し続け、昨年、創業100年を迎えた。
「創業者のダンロップが空気入りタイヤを発明してから、日本へ進出するまでわずか20年。ダンロップのアイデンティティである“先進性”と、約400年前に創業して以来、住友グループが培ってきた“信頼”。当社は、このふたつのアイデンティティを持つ企業です。これから次の100年、持続的な成長を続けていくためには、このふたつのアイデンティティを大切にしていかなければならないと考えています。」
と、代表取締役社長 三野 哲治氏は語る。そんな同社が100周年を迎えて掲げたスローガンは、“for you, for the earth”だ。“for you”は、お客様の安全や快適、品質、経済性を追求しながら、経営の健全性と透明性を高め、すべてのステークホルダーに対して誠実であること。また“for theearth”は、歴史に培われた経験や最先端の技術を活かし、地域や社会、さらに、地球環境の未来のために貢献していくことを表している。まさに、同社のアイデンティティである“先進性”と“信頼”をベースに、持続的な成長へとつながるスローガンだ。
他社と差別化できる 商品として“97%石油外 天然資源タイヤ”を開発
また、同社では、2006年に長期ビジョンとして、“GO FOR VALUE”を掲げている。
「企業がこれから社会に貢献できる存在として勝ち残っていくには、すべてのステークホルダーへ価値を創造していかなければなりません。そのために、当社では、世界一の現場力・技術力・開発力を目指し、業界No.1の収益力を実現していきたいと考えています。日本企業はものづくりのチカラ、すなわち現場力を磨くことが大切であり、品質はもちろん、コスト競争にも勝ち残っていかなければなりません。当社では、アジア・ベスト・コストプロジェクト、略してABCプロジェクトを推し進めています。」
アジアでベストになれば、世界一になれる、現場力をつけてコスト競争にもチカラを入れていくと、三野氏は力説する。
さらに、開発力、技術力として、商品力を向上させること、他社と差別化できる独創性を持った商品を生み出すことが大切だという。そうした同社の取り組みの中で生まれたのが、他社にはない環境対応商品である97%石油外天然資源タイヤ「ENASAVE 97」だ。
「現在、ハイブリッドカーや電気自動車などが注目されるなど、自動車業界における大きなテーマは環境負荷の低減。こうした中で、低燃費性のタイヤが求められています。」
と三野氏は語る。タイヤにおける低燃費性とは、転がり抵抗の数値を低減させることだが、97%石油外天然資源タイヤ「ENASAVE 97」は、有限な化石資源を使わず再生可能な素材を使っているだけではなく、低燃費性能も実現できるタイヤだと、三野氏は次のように説明する。
「我々が開発した“ENASAVE 97”は、ほとんどが天然素材でできているタイヤです。そのメイン素材である再生可能な天然ゴムは、実は、転がり抵抗にも優れた素材。化石資源の枯渇問題も、低燃費性も両立できる、まさに究極のエコタイヤといえるものなのです。」
現在は、石油外天然資源は97%だが、今後、100%を目指して開発を進めているという。
各拠点のISO 14001を 統合して、経営・業務の さらなる改善へ
さらに、同社では、調達、製造、物流など様々なプロセスでCO2排出量の削減に取り組むなど、積極的かつ包括的な環境対策を行っているが、ISO 14001の認証も1997年には取得している。
「実をいうと、当初は、ISO 14001の認証を取得することが目的となっていたように思います。しかし、ISO 14001の本来の目的は、経営や業務を改善していくこと。当社でも、これに気付き始めてからは、内部監査などではできるだけ多くの指摘事項を出すようにして、経営、業務の改善に結び付ける取り組みを進めています。」
と三野氏はISO 14001への取り組みが深化していると語る。そして、同社では、これまで世界の各拠点で個別に取得していたISO 14001の認証の統合化へ向けて動き出した。
「各拠点で個別運用していると、目標設定などもバラつきが出てしまいます。しかし、各拠点のISO 14001を統合すれば、審査などが効率化できることはもちろんですが、全社的に同じ目標・ベクトルで取り組んでいくことができ、経営や業務改善につながりやすいと感じたのです。今後は、ISO 14001の効果をさらに高めていけると考えています。」
同社では、2010年9月には、国内外30拠点でのグローバル統合認証が完了する予定だが、この統合認証の審査登録機関として、LRQAが選ばれている。
「250年の歴史の中でLRQAが培われてきた信頼性を感じたのはもちろんですが、ISO 14001が経営改善のためのツールだというポリシーにも共感しました。これからも、審査を通して業務改善につながる積極的な指摘を期待したいですね。
『住友ゴム工業株式会社様 事例紹介』
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