森林伐採における人権デューデリジェンスの必要性

森林は生態系のバランスを維持し、地球上の生命を維持する上で極めて重要な役割を果たしています。しかし、ここ数十年、世界各地で森林破壊が進行しています。

森林減少の主な要因は農業の拡大であり、その結果、年間約1,000万ヘクタールの森林が失われています。特に、牧畜やダイズ、アブラヤシの栽培といった大規模な商業農業は、2000年から2010年までの熱帯林減少の40％を占めています（FAO, 2020による）。

この文脈において、森林伐採が人権侵害につながる可能性があることを認識することは極めて重要です。人権デューデリジェンスは、森林と土地利用に関連したサステナブルで責任ある慣行を推進する一方で、企業や政府に対し、こうした侵害の防止、緩和、対処を奨励・要求する枠組みとして機能します。この関連性を認識し対処することは、環境と影響を受けるコミュニティの権利の両方を保護するために不可欠です。

森林伐採と人権デューデリジェンスは、主に先住民族や地域コミュニティ、労働権、健全な環境に対する権利への影響を通じて、密接に関連しています。森林伐採は、これらのコミュニティを移転させ、権利侵害を引き起こすと同時に、労働者の権利や健全な環境に対する権利を損なう可能性があります。人権デューデリジェンスは、企業や政府に対し、森林伐採に関連する活動において、環境と人権への懸念の関連性を認識しつつ、影響を受けるコミュニティに対する透明性、参加、救済を確保し、これらの影響を考慮し、緩和することを義務付けるものです。

ラテンアメリカは？

ラテンアメリカとカリブ海地域の総面積の49％は森林に覆われており、世界の森林面積の約22％を占めています。2010年から2020年の間に、南米では年間平均260万ヘクタールの森林が失われます（FAO）。

ラテンアメリカの3大森林は、主にブラジル、コロンビア、ペルー、ベネズエラに広がるアマゾン熱帯雨林、主にブラジルに広がる大西洋岸森林、主にチリに広がる温帯雨林です。これらの広大な森林生態系は生態学的に非常に重要であり、世界の生物多様性と気候の調節に大きく貢献しています。土地の権利を保障する強固な制度がないため、しばしば地域紛争が起こり、ほとんどの国で森林破壊や人権侵害のリスクが高くなっています。

牧畜による牛肉生産は、この地域における森林破壊の最大の要因です。WWFの推計によると、中南米で起きている森林破壊の約65％から70％が牧畜によるもので、ブラジル国内の森林破壊の80％近くが牧畜によるものです。

この危機を受けて、国際社会は世界の森林資源の保全と回復の緊急性をますます認識するようになっています。国際協定や政府の政策、国境を越えた協力的な取り組みによって、新たな規制のシナリオが形作られ始めています。最近発表されたEUDR（欧州連合森林破壊規制）は、グローバルサプライチェーンの関係者に森林破壊ゼロの製品を生産するよう新たな圧力を加えました。

この規制は厳格なデューデリジェンスを要求しており、環境破壊と人権侵害の連鎖を断ち切る好機となっています。企業に対し、サプライチェーンを精査し、森林伐採のない慣行を確保し、人権に悪影響を及ぼすリスク評価を実施するよう強制することで、責任ある持続可能なビジネス慣行の枠組みを確立します。

ラテンアメリカでは、中小企業は人権基準を遵守していることを証明する必要があるため、グローバル企業と比較してコスト増と競争上の不利に直面する可能性があり、国の輸出に影響を与える可能性があります。現地のサプライヤー、特に農業関係者は、こうした要件を満たすのに困難なため、グローバルサプライチェーンへの参加が妨げられ、投資の減少や雇用の喪失につながる可能性があります。

人権デューデリジェンス（HRDD）は、人権への悪影響を特定、予防、緩和するための継続的なリスク管理プロセスです。LRQAは、効果的なHRDDを実施する上で信頼できるパートナーです。専門知識と倫理的なビジネス慣行へのコミットメントにより、森林破壊と人権という複雑な状況を乗り切るために必要なガイダンスと支援を提供します。

LRQAが支援します

LRQAでは、世界初のエンド・ツー・エンドのデジタル・サプライチェーンESGデューデリジェンス・システムであるEiQによる詳細なリスク評価を含む、データ主導の完全なデューデリジェンス・プロセスを実施しています。このプロセスには4つの重要なステップが含まれます：

• 人権への実際の影響と潜在的な影響の評価
• 調査結果の統合とリスク軽減計画の実施
• 長期的な影響の管理と是正の追跡調査
• 影響への対処方法の伝達と報告

直接および間接的なサプライヤーのサプライチェーンをマッピングすることにより、サプライチェーンとサステナビリティに関するリスク評価を行い、サプライチェーンリスクの細分化と理解を深めます。リスク評価、リスク管理、プログラム設計への積極的なアプローチを通じて、サプライチェーンの現状を効果的に改善する支援を行います。

森林破壊のリスクが確認された場合、当社の審査チームは、当社の責任ある調達アセスメントERSAを使用して、現地調査または包括的な監査を実施することができます。

LRQAの総合的なソリューションは、違法な森林伐採に関連するリスクの評価、対処、そして最終的な軽減を支援します。これにより、社会的・環境的責任の最高水準に沿った事業展開が可能になります。

企業として、責任ある調達慣行を取り入れ、デューデリジェンスを実施し、地域社会と協力することが可能になります。世界的な規制が強化される中、LRQAはコンプライアンスだけでなく、サステナブルで責任ある未来への道をリードする支援をいたします。