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ASC(水産養殖管理協議会)の新しい養殖場規格:認証を取得した組織にとっての意味

Sam Dignan 水産部門技術責任者、LRQA

ASC(水産養殖管理協議会)は、新しいASC養殖規格を2025年5月に発表する予定です。

この新しい枠組みは、既存の水産物種別規格に置き換わるもので、発表日から2年間の移行期間を設け、認証養殖場が更新された要求事項に適応する時間を確保します。

ASC養殖規格で導入された主な変更点

今後発表されるASC養殖規格は、水産養殖分野におけるサステナビリティと説明責任を強化することを目的としています。 13の魚種グループを対象とする現行の12の魚種別規格に代わるこの新しい規格は、さまざまな養殖業務に適用できる合理化されたアプローチを提供します。

この変更の主なメリットの1つは、異なる魚種間の認証要件の調和であり、認証取得の障壁を低減します。 以前の縦割り的なアプローチでは、魚種グループごとに異なる基準が設けられていたため、認証の拡大を目指す人々にとっては複雑性や不整合が生じる可能性がありました。 新しい規格は、より利用しやすい単一の枠組みを提供することでこれを簡素化し、認証プロセスにおける一貫性と効率性を高めます。

この規格は、4つの基本原則を中心に構成されています。

  1. 法令遵守と効果的な事業経営 – 水産養殖事業が法的な枠組み内で運営され、健全な管理システムが維持されることを確保します。
  2. 環境保護 – 環境への影響を最小限に抑え、生物多様性を保護し、資源の持続可能な利用を確保する活動を推進します。
  3. 人権の尊重と推進 – 水産養殖事業に関わる労働者および地域社会の権利と福祉を擁護します。
  4. 責任ある動物衛生と福祉の実践 – 養殖水産動物の健康と人道的な扱いを確保する対策を実施します。

この統一規格は、認証を容易にするだけにとどまらず、社会的および環境的責任への取り組みを強化し、グローバルなサステナビリティ目標に整合するものです。

認証取得組織への影響

認証取得済みの養殖場は、ASC養殖場規格の発行日から2年間の移行期間が設けられ、その間に業務を新しい要件に適合させることになります。この期間中、養殖場は既存の魚種別規格または新しい統一規格のどちらかに準拠することを選択できます。この移行期間の規定により、養殖場は認証ステータスを中断することなく、適応するための十分な時間を確保することができます。

移行に関する詳細については今後決定されますが、認証取得者は2027年5月の移行期限までに新しい農場基準の要件を満たす必要があり、その期限後の次の定期監査で審査されることになるでしょう。

さらに、ASCは、ASCに準拠した飼料に切り替えるための移行期間を延長しました。当初は2025年1月と設定されていた期限は、現在では2025年10月まで延長され、農場がASC飼料規格に準拠した認証を受けた飼料工場から飼料を調達する時間を追加で確保できるようになりました。

LRQA、お客様への支援への取り組み

LRQAでは、新しいASC養殖規格への移行にともなう課題と機会の両方を理解しています。 LRQAの専門家チームは、既存の認証取得組織と新規の認証取得を目指す組織の両方を指導し、支援することに専念しています。

LRQAの水産部門技術責任者であるサム・ディグナンは、変更の重要性を強調し、LRQAが移行期間中のお客様をどのように支援する準備が整っているかを説明しています。

「ASC養殖場基準は、ASCプログラムに重要な新しい原則、例えば水産動物の福祉などを導入する養殖認証にとって大きな前進です。魚種や生産方法にかかわらず、ASC認証を取得し維持するためにすべての養殖場が満たさなければならない要求事項が明確で、適切かつ一貫性のあるものとなるよう、新しい基準では、魚種や生産方法にかかわらず、要求事項を調和させています。移行期間は、認証取得済みの農場が適応するための時間と柔軟性を提供します。LRQAでは、既存のASC認証からの移行や、初めての認証取得を目指す組織をあらゆる段階で支援してまいります。」

私たちは、この移行期間中、お客様が最新の要求事項を満たし、責任ある養殖業の実践に対する取り組みを継続できるよう、お客様に合わせた支援を提供することをお約束します。

認証取得組織の次のステップ

移行を効果的に進めるため、認証取得組織には、以下のことが推奨されています。

  • 新しい規格が利用可能になったら確認 – ASC養殖場認証規格の要求事項に精通し、自社の業務への影響を評価します。
  • 移行計画を策定 – 移行期間内に新しい規格に準拠するために必要なステップを詳細に記した包括的な計画を作成します。
  • 認証機関と連携 – LRQAのような認証機関と協力し、移行プロセス全体を通じてガイダンス、トレーニングを受けます。

ASC養殖規格に能動的に取り組むことで、養殖業者はサステナビリティへの取り組みを強化し、進化する市場の需要に応え、環境や社会的な成果に確実に貢献することができます。

 

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